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サイダーハウス・ルール  THE CIDERHOUSE RULES

愛はいつもそばにある。
アメリカ 1999年 131分
製作:FilmColony、Miramax Films、ほか  配給:Asmick Ace

あらすじ

孤児院で生まれ育った青年の心の成長物語。ジョン・アーヴィングの同名ベストセラー小説を、アーヴィング自らの脚本で長年の構想の末に映画化し、アカデミー脚色賞を受賞した。
監督は『ギルバート・グレイプ』、『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』のラッセ・ハルストレム。主演は『スパイダーマン』でブレイクする前のトビー・マグワイアが務めた。
原作者のジョン・アーヴィングもセントクラウズの駅長役で出演している。

イン州ニューイングランド。人里離れたセントクラウズにある孤児院で生まれ育った青年ホーマーは、父親代わりである医師のラーチ院長に医学を教え込まれ、ほかの孤児たちの面倒を見ながら助手として働いていた。ラーチ院長は「堕胎は女性を救う」という信念を持ち、当時禁止されていた堕胎手術を、望まない妊娠をして孤児院にやって来る女性たちに密かに施していた。しかし、ホーマーは自分の出生を重ね合わせてしまい、堕胎を否定し拒否する姿勢を貫く。
そんなある日、美しい女性キャンディとその恋人ウォリーが、堕胎手術を受けに孤児院へやって来る。ホーマーは、2人に付いて孤児院を出る決心をし、生まれて初めて外の世界に出る。ウォリーの母親が経営するリンゴ園で働くことにしたホーマーは、黒人労働者たちとともに、サイダーハウスで共同生活を始める。ウォリーが戦地に行ってしまうと、ホーマーとキャンディはデートを重ねるようになっていった。そして孤児院を出てから1年もたった頃、事件が起こり、ホーマーはある決断を迫られる・・・。

スタッフ

監督:ラッセ・ハルストレム
製作:リチャード・N・グラッドスタイン
E.P.:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、ボビー・コーエン、メリル・ポスター
原作:ジョン・アーヴィング 「サイダーハウス・ルール」
脚本:ジョン・アーヴィング
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:リサ・ゼノ・チャージン
音楽:レイチェル・ポートマン
美術:デイヴィッド・クロープマン
...ほか

キャスト

トビー・マグワイア (ホーマー)
マイケル・ケイン (Dr.ラーチ)
シャーリーズ・セロン (キャンディ)
デルロイ・リンドー (Mr.ローズ)
キャシー・ベイカー (アンジェラ)
ポール・ラッド (ウォリー)
ケイト・ネリガン (ウォリーの母)
K・トッド・フリーマン (マディ)
エリク・パー・サリヴァン (ファジー)
エリカ・バドゥ (ローズ・ローズ)
キーラン・カルキン (バスター)
ジェーン・アレキサンダー (エドナ)
へヴィ・D (ピーチズ)
パ・ドゥ・ラ・ユエルタ (メアリ・アグネス)
スペンサー・ダイアモンド (カーリー)
...ほか

印象的なセリフ

"Good night, you Princes of Maine, you Kings of New England!"
― おやすみ メイン州の王子たち、ニューイングランドの王たちよ!

受賞

アカデミー賞
脚色賞 (ジョン・アーヴィング)
助演男優賞 (マイケル・ケイン)
ナショナル・ボード・オブ・レビュー
脚本賞 (ジョン・アーヴィング)

レビュー

<ネタバレあり>
堕胎という命の尊厳に関わる重いテーマを扱いながら、1人の青年の心の成長をていねいに描いた良作。原作者ジョン・アーヴィングの物語作りの上手さと繊細な音楽が際立って印象的で、映像もどこか幻想的できれい。
孤児、堕胎、生と死、近親相姦など、重い出来事が描かれるストーリーにも関わらず、深く重く考えさせるような強引さがなくて、じんわりと心に染みてくる感じがとてもよかった。
孤児たちはそれぞれに不幸を抱え、養子を求めてやってくる夫婦たちに気に入られようと必死になる。でも、もらわれていくのはまだ年少で可愛い子供から。
年少なのに誰ももらってくれない孤児は「自分がかわいくないからだ」と落ち込み、もらわれる希望がほとんどなくなる年齢に達した孤児はぶつけどころのない感情を抱えながらも、ほかの孤児の兄姉代わりとなって居場所を見出そうとする。そんな子供たちは本当に健気で泣ける。
徴兵から逃れるために、ホーマーは心臓病だと偽って守ったラーチ医師。最後の罪滅ぼしとして娘をかばったミスター・ローズ。どちらも深い愛情を持った親だったが、その愛情ゆえに我が子は自分の元から去ってしまった。しかしまた皮肉なことに、その愛情こそが我が子を成長させた。幸せは親が与えるものではなくて、自分で見つけ出すものだ。そんなことをふっと思った。
主役のトビー・マグワイアをはじめ、出演者もみんなよくて、ホーマーの父親として深い愛を注ぐラーチ医師を演じたマイケル・ケインは特に素晴らしかった。すごくファンになった。
ちなみに、バスターを演じたキーラン・カルキンは、「ホーム・アローン」で人気者になったマコーレー・カルキンの弟。そっくり。

関連リンク

>オフィシャルサイト http://www.asmik-ace.com/Cider/

原作

DVD

サウンドトラック

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